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第21話 もしかして、兄様が

Auteur: 板野かな
last update Date de publication: 2026-09-19 18:00:35

 あれほど帝都を騒がせた密会騒動も、真相が明らかになってしまえば、御影家の日々をいつまでも乱し続けるものではなかった。

 門の外に記者の姿を見ることもなくなり、朝になれば使用人たちが廊下を行き交い、昼には庭師が枝を整える鋏はさみの音が庭から聞こえてくる。

 そんな穏やかな午後。

「麗香姉様。そこ、違います」

「え?」

「そこです。先ほどから同じ行を三度も読んでいらっしゃいます」

 居間の長椅子で本を開いていた麗香は、向かいの卓で勉強している小夜さよに指摘され、目を瞬かせた。

 確かに、目の前の洋書は少しも読み進んでいない。

「……少し考え事をしておりました」

「兄様のことですか?」

「なぜそうなるのです?」

 思わず声が上擦った。

 小夜は筆を置くと、いかにも不思議そうに首を傾げる。

「だって、最近の麗香姉様、兄様のことを考えている時だけ分かりやすいですもの」

「そ、そんなことは&h
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